洗面台やキッチンが老朽化してきたから新しいものに取り替えたい、家で過ごす時間が長くなってきたからリビングをもっと快適に過ごせるようにリフォームしたいなど、リフォームを検討するきっかけはさまざまです。また、最近はリノベーションブームもあり、リフォーム前提で中古住宅を購入する人も増えています。
このように人気のリフォームですが、どのリフォーム会社に依頼するかで満足度は大きく変わります。
この記事では、リフォーム会社を選ぶポイント、リフォーム会社の種類、残念ながらリフォームを失敗したと感じている人の例をご紹介します。
これを読めば、落ち着いてリフォーム会社選びができるようになるはずです。
リフォーム会社を選ぶポイント
リフォーム会社と一口にいっても、いろいろな業者があるのが実情です。きちんと丁寧に仕事をしてくれて、自分たちの疑問をきちんと解消してくれる業者に巡り会うために、どんな点に着目したらよいのでしょうか。
ここでは、9つのポイントをご紹介します。
希望のリフォームを実現できる実績があるか
まずは、「希望のリフォームを実現できる実績があるか」です。リフォームと言っても、床材を張り替えるのもリフォーム、キッチンを入れ替えるのもリフォーム、外壁を塗装するのもリフォームです。
ここで気をつけなくてはならないのは、技術がある=希望のリフォームを実現できる、ではないことです。
リフォーム会社は、ホームページ上で、施工例を公開していることがほとんどです。それを見て、自分のやりたいリフォームができそうか、自分の考えている方向性に近い施工例があるか、確認しましょう。
理想のプランを提案できるか
続いては、「理想のプランを提案できるか」です。
顧客の希望を実現した理想的なプランを提案できるのかどうか、リフォーム会社のプランニング力が問われるところです。
以下のような点からリフォーム会社の対応を見てみましょう。
・こちらの希望をきちんと聞いてくれるか
・きちんとした理由説明もなしに意見を押しつけてこないか
・こちらの希望を実現できない場合にきちんとした理由説明があるか
・メリットとデメリットを考慮した現実的なプラン提案があるか
・実際の姿のイメージがわきやすくなる工夫があるか
もちろん顧客の希望をきちんと聞き、頭ごなしに否定しないことは大前提ですが、顧客の希望をすべて叶えることが、ベストな選択になるとは限りません。また、顧客はAという希望を出していたけれど、その本質的な希望はBというプランでも実現できた、ということもあります。
また、あるプランを取り入れた際のメリット・デメリットについても包みかくさず教えてくれるかどうかで顧客の選択が変わることもあり得ます。
顧客の希望だけでなく、その周辺情報まできちんとヒアリングし、顧客の生活状況に合ったプランを提案できるリフォーム会社を選びましょう。
質問に対して丁寧に回答してくれるのか
「質問に対して丁寧に回答してくれるのか」も、信頼関係を築く上では非常に重要なポイントです。
大抵の場合において、顧客はリフォームに関しては素人です。用語ひとつとっても、わからないことだらけです。また、その道の勉強をしてきていないからこそ、出てくる疑問点もあるでしょう。
そういった疑問を顧客が投げかけた時に、丁寧に回答してくれるか、わからないかもしれないけれどかいつまんで教えてくれるか、リフォーム会社の担当者の対応を見てみましょう。
わからないことをわからないままにしておくと、後々トラブルに繋がりかねません。また、「どうせ説明してもわからないから」という姿勢には顧客軽視の姿勢が透けて見えます。このような点からも、本当に顧客を大事にしてくれる業者なのかわかります。
コミュニケーションをとれるのか
続いては「コミュニケーションが取れるのか」です。
態度が横柄だったり、威圧的だったりすると、こちらも意見を言いづらくなってしまいます。また、「次回までに用意しておきますね」と言われた資料が用意されていなかった、約束の時間を間違えられていた、などということが続くと、きちんとコミュニケーションが取れていないのでは、と感じることもあるでしょう。
うまくコミュニケーションが取れず、モヤモヤした気持ちや不満を抱えたままプランニングを進めると、どこかで不満が爆発しかねません。また、リフォームそのものはうまく行ってもモヤモヤした気持ちが燻り続けることもあります。
リフォーム会社は施工したら終わり、ではなく、その後メンテナンス等で長く付き合っていく会社です。コミュニケーションがうまく取れない業者だな、と感じたら、業者を変えることを検討してもよいでしょう。
近隣にあるのか
その業者が、近隣にあるかどうかもひとつのチェックポイントです。車で60分以内がひとつの目安となります。
リフォームは長期間に及ぶ工事になることも多いです。工事期間内にはちょっとした水漏れなどのトラブルが起こり、工事時間中ではない時に駆けつけてもらう必要が出てくるかもしれません。そのような時に、リフォーム会社の所在地があまりに遠いと、対応が遅くなってしまいます。
遠方だけれどどうしてもお願いしたい業者がある場合には、そのあたりのリスクは理解した上で依頼するようにしましょう。
アフターサービスや保証は充実しているのか
アフターサービスや保証は充実しているのかどうかも重要な視点です。
リフォームは工事をして終わりではありません。顧客はリフォームした後の家でずっと生活していきます。その中で、不具合が出てくることもあるでしょう。
どの業者も、アフターサービスについて、「〇年ごとに無料点検があります」など、アフターサービスについても説明があると思います。リフォームする前からリフォーム後のことまで考えづらいかもしれませんが、小さな不具合が見つかった場合はどうなるのか、トラブルの対応はしてもらえるのか、といった、工事が完了した後のこともきちんと確認した上でリフォーム会社を選びましょう。
また、「リフォーム瑕疵保険」というものがあります。「瑕疵(かし)」とは傷や欠点のことで、住宅のリフォームにおける「検査」と「保証」がセットになっている保険です。これに加入することができると、以下のようなメリットがあります。
・第三者検査員(建築士)による検査が実施される
・リフォームを実施した全部分が保証される
・定められた基準に沿って施工され質の高いリフォームが期待できる
・万一工事に瑕疵があっても安心できる
・リフォーム会社が倒産しても保証を受けられる
第三者に検査をしてもらえる点や、万が一リフォームを施工した業者が倒産・廃業してしまっていても保険に入っていれば他の業者に無償で修理がお願いできる点は大きなメリットです。
アフターサービスについて不安があれば、リフォーム瑕疵保険に加入できるかどうか、聞いてみましょう。
住宅リフォーム事業者団体に加盟しているのか
信頼できるリフォーム会社なのかを判断する材料のひとつとして、「住宅リフォーム事業者団体」に加盟しているかどうかがあります。
「住宅リフォーム事業者団体登録制度」とは、消費者が安心して住宅リフォームを行うことができる環境を整備するために、次のような基準を満たしたリフォーム会社を対象に、国土交通省で登録を受け付けています。
・消費者相談窓口を設置している
・人材育成の仕組みを有している
・会員事業者は一定金額以上のリフォームの場合リフォーム瑕疵保険に加入する
国土交通省という国の省庁が管轄する機関のリフォーム団体に加盟していれば、質の高い技術力を持つ、信頼のおけるリフォーム会社である可能性が高いと考えられます。一方で、加盟していないリフォーム会社=信頼できない、技術がないというわけではありません。あくまでも参考程度に考えましょう。
口コミ・評判は良いか
実際の施工例や施工態度がどう評価されているかは押さえておきたいところです。インターネット上にも、リフォーム会社の評価サイトがあります。また、近隣の企業であれば、知り合いの中にも過去にリフォームを発注した人がいるかもしれません。そういった方に感想を聞いてみるのもひとつの方法です。
インターネット上での評判は、手軽な反面、顔が見えないこともあってか、時に暴走しがちです。口コミ・評判も参考程度に止めておくのがよさそうです。
施工内容に特化した資格を持っているか
最後は、施工内容に特化した資格を持っているか、です。
施工内容 | 必要な資格 | 持っていると有利な資格 |
水回り | 管工事施工管理技士 | |
お風呂・キッチン | 各メーカーが出すライセンス | |
500万円以上の リフォーム | 建築業許可 | |
断熱・耐震 増築など | 二級建築士 | |
バリアフリー | 福祉住環境コーディネーター | |
トータルコーディネート | インテリアコーディネーター |
資格を持っていることで、その分野の知識があることの証明にもなります。また、資格を持っていないと取り扱えないリフォーム内容もあるので、不安に感じたら資格はあるのか確認しましょう。
建築業許可は、金額や規模の小さいリフォームでは持っていることが必須条件にならないケースもあります。しかし、建築業許可を持たないリフォーム会社が費用の安さをうたって粗悪な工事を提供する例もありますので、金額に関係なく持っているリフォーム会社に依頼するのが安心でしょう。
リフォーム会社の種類と特徴
リフォーム会社の選び方がわかったところで、リフォーム会社にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、リフォーム会社の種類と特徴をみていきます。
リフォーム専門会社
まずは、リフォーム専門会社です。新築物件は扱わず、リフォームだけを取り扱っています。
リフォーム実績は豊富であることが多く、顧客の要望に対しても幅広く対応してくれるケースが多いです。ただし、リフォーム専門会社といっても、すべての会社がリフォーム全般に対応しているわけではありません。
壁紙や床材の張替えなどの内装工事、水回り設備の交換、外壁や屋根の塗装・葺き替えなど、それぞれ専門分野や得意分野があるのが一般的です。
そのため、リフォームを依頼したい場所を得意としている業者を選ぶことが大切です。
設計事務所
続いては設計事務所です。デザイン面では強いので、リノベーションのような単なるリフォームではなく、さらに付加価値を持たせたい場合にはおすすめです。大規模なリフォームには強いですが、洗面台を入れ替えるだけ、キッチンを入れ替えるだけのような小規模のリフォームには対応していないことも多いです。
設計事務所に依頼すると、設計料がかかり、また実際の施工は別業者に発注することになるので、費用は高額になりがちです。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、基本的には新築注文住宅の注文を受けている会社で、全国展開しているところが多いです。しかし、近年、リフォーム部門やリノベーション部門を有するハウスメーカーも増えてきました。
設計事務所同様大規模なリフォームを得意とし、実際の施工は下請け業者が担当することがほとんどです。
工務店
工務店はハウスメーカーよりも狭い範囲で新築注文住宅の注文を受けています。地域密着型のところが多く、自社で職人さんを雇っているケースが多いです。
工務店でも、リフォーム実績があれば、安心してリフォームを依頼できます。住宅工事をおこなっていることから、内装・外装リフォーム全般に対応可能なところが多いです。
関連記事:リフォーム会社と工務店の違いとは?それぞれの特徴とメリットを解説
リフォーム会社選びでよくある失敗例と回避方法
ここまで、リフォーム会社を選ぶポイントや、リフォーム会社にはどのようなところがあるのかをみてきました。しかし、このような情報が合っても「失敗したな」と感じている人は後を断ちません。
ここでは、「失敗した」と感じている人が、原因だと感じていることを4つご紹介します。「失敗しないように気をつけるぞ」と思っていても失敗してしまうもの、これらの失敗例を頭に入れておくだけでも、「もう少しよく検討しよう」という気持ちを呼び起こしてくれるかもしれません。
ネームバリューだけでリフォーム会社を決める
はじめにご紹介する失敗例は、「ネームバリューだけでリフォーム会社を決める」です。
特に大規模なリフォームの場合、大抵の顧客は具体的なイメージまで湧いていなくても、あぁいう風にしたい、こういう風にしたいという要望は抱いていると思います。しかし、その要望は、同じ方向を向いて実現してくれるリフォーム会社もあれば、残念ながら得意でないリフォーム会社もあります。あなたにとっていいリフォーム会社=みんなにとっていいリフォーム会社、とは限りません。
しかし、ハウスメーカーや有名企業の名前を聞くと、「大手だからいい会社なのではないか」「有名なのだから工事も上手なのではないか」と思ってしまい、施工実績等をきちんと確認しないまま契約してしまうケースが見られます。
もちろん、大手ハウスメーカーや有名な企業の提案力や施工技術に問題があるわけではありません。「自分の要望にマッチする業者を探す」という視点がかけていたからこそ起きた失敗例だと言えるでしょう。
知人に紹介されたリフォーム会社と契約する
ひとつ目と似たような失敗例に、「知人に紹介されたリフォーム会社と契約する」があります。
知人に紹介されると、紹介してもらった手前相手の顔を潰しては悪いと感じ、「自分のやりたいリフォームと方向性が違う」「施工例があまり好みではない」などのマイナス面を感じていながらも、契約をしまった例です。
今知人にお断りする大変さと、好みに合わないリフォームをされた家で生活していく大変さ、どちらを取るかよく考えてみましょう。
急かされて契約してしまう
「今日なら〇〇をサービスします」「依頼が殺到していてなかなか順番が回ってこないのだけれど、今日なら特別に空いている枠に入れられます」などと言葉巧みにその日のうちの契約を促され、不本意ながらついつい契約してしまったというケースも多くみられます。
こちらからリフォーム会社に出向いて話を聞いているケースでは、クーリングオフ制度が使えません。しかし、どうしても納得が行かない場合には以下のような方法で契約を解除することができます。
1. 特定商取引法に基づく契約取り消し
2. 消費者契約法に基づく契約取り消し
3. 民法に基づく錯誤取り消し・詐欺取り消し、契約不適合解除
4. 施主都合による請負契約の解除
リフォームに限らずどんな契約でも、契約を急かされる場合には本当にそこの会社で大丈夫なのか考え直し、他社の見積もりと比較検討してから契約するようにしましょう。
複数業者の見積もりを取らずに契約する
最初に話を聞きに行ったリフォーム会社で話が弾み、他のリフォーム会社の話を聞いたり見積もりを取ったりせずに契約してしまったパターンです。
あるリフォーム会社が気に入り、「ここで間違いない!」と思っても、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。
インターネットでの評判や、知り合いからの口コミなどを元に、見積もりを出してもらう業者を3社〜5社くらい選びます。「ここだ」と思っている会社と、選んだ会社に、同じ条件の希望を伝えて見積もりを出してもらいます。その際、不要なトラブルを防ぐために他社からも見積もりをとっていて、比較検討するつもりであることも伝えておきましょう。
見積もりを見ると、A社では標準価格に含まれているものがB社ではオプションだったり、A社とC社の見積もりでは同内容なのにずいぶん価格の開きがあったりと、いろいろなことに気づくでしょう。見積もりを比較することで適正な価格もつかめてきますし、必要なサービスも見えてきます。
極端に高い会社は不当に儲けようとしている可能性がありますし、極端に安い会社は手抜き工事をすることで安い金額でも利益をあげている可能性があります。
もしかしたら、「ここだ!」と思った会社が、不当に高い価格を提示している可能性もありますが、それは他社を知ることでしか気づけません。比較検討した上で、やはり最初に見たリフォーム会社が一番いい、ということであれば、問題ありません。
せっかく気に入った会社に依頼するのですから、最後まで気持ちよくいたいものです。
関連記事:リフォームで見積もりを取る際の注意点は?見積書の見方も解説
よく比較検討して自分にあったリフォーム会社を選ぼう
ここまで、リフォーム会社を選ぶ時のポイント、リフォーム会社の種類、リフォーム会社選びの失敗例についてみてきました。
リフォーム会社を選ぶ時には 「リフォーム実績」「プラン提案力」「コミュニケーション能力」「所在地」「保険や事業者団体への加入を含むアフターフォロー」「口コミのよさ」「持っている資格」などがポイントになることがわかりました。
また、リフォームを取り扱う会社にはさまざまな会社があり、それぞれに得意不得意が異なることもわかりました。
失敗例と同じ過ちを繰り返さないためにも、自分なりにリフォーム会社選択のポイントと照らし合わせながら、依頼しても大丈夫な業者かどうか見極めていきましょう。